上野 岳 

音楽履歴

1992年北海道札幌市生まれ。

 4歳から18歳までピアノをウィリアムス美由紀に師事。

 16歳で打楽器奏者を志し、大垣内英伸、杉山智恵子の両師に師事し打楽器の基礎を学ぶ。
 
 北海道札幌市立藻岩高校を経て武蔵野音楽大学入学。
打楽器・マリンバを、中谷孝哉、室内楽を吉原すみれに師事。
2016年同大学音楽学部・器楽科課程修了。
 
 2017年より渡欧し、チューリッヒ芸術大学音楽科・マスター・コンサートパフォーマンスへ入学。
マリンバをRaphael  Christen、打楽器をKlaus Schwärzler、ティンパニをBenjamin Forsterの各師に師事。
卒業試験、卒業リサイタル共に満場一致の満点評価により首席獲得。

 2019年より同芸術大学・マスター・スペシャライズソリストへ進学。

 2015年、ルーマニア国際音楽コンクールにて奨励賞受賞。同年、長江杯音楽コンクールにて3位入賞。

 2017年、イタリア国際打楽器コンクールにて3位入賞。

 2016年には教育課程を修了し教員免許取得。

 渡欧してからはコンテンポラリー、現代音楽にも精通し、10曲以上の初演・再演を行う。
その他、ヨーロッパを中心に活躍する様々な作曲家主催のコンサートにて、打楽器ソロや室内楽などを演奏・レコーディングしている。

 現在スイスを中心にヨーロッパで幅広い音楽活動をしている。

音楽人生の物語

―――まさか自分がヨーロッパで演奏活動をするなんて思ってもいなかった

  ３歳のころ。

 自然いっぱいの北の大地で、夏は水泳、冬はスキーに明け暮れた。音楽との出逢いは『友達のお母さんがピアノの先生だった』、ただそれだけ。

  ピアノを始めた僕は相変わらず動き回ることが大好きで、水泳、スキー、鬼ごっこからかくれんぼまで、ひと通りの遊びに明け暮れた。わんぱくっぷりはこの後も続き、小学校からはテニスも始めた。

  次の転機は小学5年生の時。

  学校の催しもので鼓笛隊の小太鼓を叩き、打楽器の楽しさに目覚める。そのまま持ち上がりで入った中学は、偶然にも吹奏楽部強豪校。ピアノの経験が活きて、1年生ながら打楽器でコンクールメンバーに選出された。

 とにかく演奏できることが楽しくて仕方なかった。

 偶然は重なる。

 推薦入試に失敗して進学することになった高校には合唱部があり、迷わず入部。合唱の素晴らしさに出逢えた。

 音楽がますます楽しくなった高校2年生の時。

 北海道文化放送（HBC）のジュニアオーケストラの入団オーディションに合格、オーケストラを始める。

 些細なきっかけで始めたピアノ、強豪校吹奏楽部での活動、入試失敗で出逢った合唱。興味から始めたオーケストラ。

この偶然のきっかけが全てつながって、『音楽の道に進もう』と決心したのがこの高校２年の夏だ。

 思いたったら止まらない僕は、音楽大学進学を目指しプロの打楽器奏者からレッスンを受け始める。東京の大学進学も視野に入れ、札幌から東京まで月一回日帰りで別の先生の元へもレッスンに通った。

 翌年春。東京の音楽大学に合格。上京し同じ志を持つ仲間との男子寮共同生活が始まった。

 毎日同じ飯を食べ、同じ風呂に入り、同じ屋根の下で寝、好きなことを学ぶ夢のような環境で、ますます音楽に魅了されていった。

 大学生最後の年、さらなる転機が訪れる。

 仕事先で、スイスにある芸術大学に留学する人と偶然出逢い、世界にはまだ知らない音楽があると気づく。

 『世界へ出よう』と決める。

 大学を卒業。すぐに留学への準備を進めるも、叶わず。留学を諦め日本で就職すべきか悩んだが、その想いは捨てきれず最後と決めた次の挑戦で見事成功。24歳にして留学が決まった。

 それから4年経った今。

 打楽器奏者としてスイスを拠点にヨーロッパで幅広く活動し、現在も自分の音楽をきわめるため日々努力している。

 ―――まさか自分がヨーロッパで演奏活動をするなんて思ってもいなかった

 どんな時も自分が楽しいと思えることに全力を注いだ結果、今がある。どんなきっかけでも好きなことに出逢えたらそれはとてもラッキーなこと。偶然『それ』に出逢えた僕は、全力で楽しむことを忘れず、そしてその楽しさをコンサートに来てくれるお客様に届けられるようこれからも音楽と共に生きていきたい。

 今、音楽を楽しいと思っている君たちが、とことん楽しむことを僕は応援したい。楽しむことは最大の原動力。全力で楽しんだ経験は、きっと何事にも代えがたい君の力になる。